| いつも使っている階段の断面ってどうなっているのでしょうか。 下に、鉄筋コンクリート階段ともう一つの代表例の鉄骨階段の例を書いてみました。
この他にも、使用場所や、仕上材料によっていくつもの方法がありますが、基本的にはこの二つの応用と考えて差し支えありません。
鉄筋コンクリート造の階段例
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| 上下の図面では少し見にくいのですが、順を追って説明します。 (説明順序に特別な意図はありません。また、説明は鉄筋コンクリートも鉄骨造も同じ符号のものは共通の説明です。)
A:ささら目地 (上の図) 鉄筋コンクリートの階段ではここに目地を設けることがあります。設けなければならないというのではないので、設けない場合もあります。しかし、外部の鉄筋コンクリートの階段では殆どの場合で目地を設けます。 設けない場合でもこの部分を幅木として塗分けたり、幅木材を張ったりします。 ささら目地から上は違った色を塗ったりします。
B:手すり高さ (上の図及び下の図) 手すりの高さは図の通り、大体人の手が持ったり、つかまったりしやすい高さという事から、80cmから85cm程度とします。最近では、非常に高い手すりを見かけますが、使い勝手の悪くて手すりの機能を有しません。墜落防止の予防でしょうが、内側に実用的手すりをもう一つ設けるべきでしょう。
C:手すり (上の図及び下の図) 鉄筋コンクリートの階段では当然コンクリートの手すりであることが多いのですが、閉塞感もあり施工も面倒なので、手すりは鉄骨階段のように金属手すりとすることもよくあります。
D:ノンスリップ(スリップ防止) (上の図及び下の図) ノンスリップは殆どの階段に付けられています。階段の上り下りに足を滑らせて怪我に至るのを防ぎます。鉄筋コンクリートの階段では、溝の切った専用のタイルがあり、よく使われますが、鉄骨階段では使いません。その他鉄筋コンクリート、鉄骨の両階段で共通して、金属、プラスチック製などのノンスリップを使います。
E:踏面 (上の図及び下の図) 踏面は階段の段の水平の部分の事で、外部ではモルタルを塗ったものや、タイルを貼ったものが多く、鉄筋コンクリートでも、鉄骨の場合でも共通した事です。
F:蹴上 (上の図及び下の図) 蹴上は階段の一段の高さのことです。ここにあたる部分は、「G:転び」でも図示しているように真っ直ぐではなく少し奥に倒れています。この倒れた部分を「蹴込み(けこみ)」といいます。また、そこに貼る板を「蹴込み板」といいます。(鉄骨造の階段のみ)さらに倒れた部分が鉄骨の階段では省略していることもあります。
G:転び (上の図及び下の図) F:の欄及び図を参照してください。蹴込板となる部分の内側への傾きのことです。
H:コンクリート (上の図) 階段を形造っている、フレームはコンクリートです。勿論、鉄筋の入った鉄筋コンクリートです。階段の骨組みに当たります。
I:仕上げ (上の図及び下の図) 鉄筋コンクリートの階段も鉄骨の階段もモルタルを塗ってその上に仕上材として、厚さが3mm程度の塩ビシートやもう少し厚い絨毯を張って仕上ます。簡素な階段で良い場合はモルタル塗りでおしまいです。
鉄筋コンクリートの場合のモルタルを塗っての仕上は、コンクリートのままでは、凸凹して綺麗ではないためどうしても仕上げが必要になります。外部では、防水の必要もあります。鉄骨の場合は鉄板の上に仕上材を貼るような場合、歩くと鉄板の振動で音が出たりするため、工場などの必ずしもそういう音が出ても問題にならないところ以外では、モルタルを3p程度塗ります。(仕上も含めて3pです。)
J:目地 (上の図) 目地は鉄筋コンクリートの階段の場合に設ます。必ず設けなければならないというわけではありませんが、階段裏など、仕上げの色塗りを変えたりアクセントの見切りとして付けたりします。また、階段の床に防水をする場合には防水の立ち上がりが必要ですから、目地となるところまで防水用の欠込みをいれ、そこまで塗り上げます。その上を押さえのモルタルをぬり、欠込み部分のモルタル塗りとコンクリートの手すりとの間に目地を入れます。これは屋外階段の場合で、屋内階段の内部には防水は不要です。
K:12cm (上の図) いきなり数字を書いてしまいましたが、手すりの幅のことです。上の図のCに当たる部分の幅です。人がつかまるのですから、12cmでも広いくらいです。大体、太くても4cm程度が好ましのですが、鉄筋コンクートの場合それ程薄く作れません。
従って、コンクリートの手すりの上に4cmくらいのパイプ手すりを通すこともよくありますし、手すりの内側にパイプの手すりを設けることもあります。鉄骨の場合はパイプの手すりか、薄い板状のビニールの手すりが多く使う形状です。
L:ささら桁 (下の図) ささら桁とは階段の踏面の板と蹴込み板を支える階段の通常両端にある板のことです。この板は階段の端で梁に掛かっています。鉄骨階段や木造の階段にのみ見かける構造部材です。鉄骨では、少なくとも12mm程度は必要です。
M:鉄板曲げ加工 (下の図) これもいきなり部材そのものを書いてしまいましたが、鉄骨階段そのものの加工のことです。階段専門の会社や鉄骨製作会社が工場で作り搬入します。大型トラックでの搬入ということになり、通常分割して搬入し現場で取り付けます。
ずは、踏面にモルタルを受けやすいようにコの字型に鉄板を曲げて加工し、ささら桁に取り付けます。厚さは大体:4.5mmくらいで、平板を機械で曲げて加工します。
N:手すり親柱 (下の図) 手すりを支える支柱のことです。手すりと同じ大きさか、少し大きい目を使います。その方が手すりが安定しますし、手すり子との取り合いが良いからでもあります。大体1.2m程度に一箇所設ければよいでしょう。
O:手すり子 (下の図) 手すり子は人が手すりとささら桁の間から墜落しないように設けるものです。 下図の鉄骨階段の図のような横に荒いものや図にはないのですが、縦に粗い物もマンション(共同住宅)などの小さな子供が利用するような建物では、隙間から墜落する恐れがあり使用できません。事務所建築などの子供が使用することのないような階段では使用可能です。
| 鉄骨造の階段例
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