| 『海老束(エビづか)』とは書院の床脇にある違棚、上段下段の棚板を支持する(繋ぎ支える)束のことです。「蝦束」と記す場合もあります。
別名を「雛束(ヒナづか)」といいます。なぜ、この束を海老束と呼ぶかは、色々調べたのですが、判明しませんでした。また、なぜもう一つの呼称「雛束」と呼ぶかもわかりません。筆者の所見では、様々な束の中でも特に小さいので「雛束」と呼ぶのではないかと考えます。
色々調べている内に、海老束の呼称で、下図の仏具などの中で「須弥壇の中程なる幅広き部分をいう」とあるのを発見しました。確かに、これからは、海老の図の中で指差し部分と須弥壇の図の指差し部分とは、符合しています。『(この部分は「海老の腰(エビのこし)」と称する場合もあります。』
違い棚の海老束と仏壇の海老束に何か関連があるのかも知れませんが、不明です。この海老束について、ご見識がある方がいらっしゃれば、お教え願いたく存じます。
海老束の他にも海老の名のつく部材は多く見かけます。
・海老虹梁(えびこうりょう) | | エビのように湾曲した虹梁。側柱と本柱など、高低差のある所に用いる。唐様建築の特色の一つです。 | ・海老の腰(えびのこし) | | 須弥壇の中程なる幅広き部分をいいます。 | ・海老篭手(えびごて) | | 海老の尾の形をした手にはめる防具のことです。 | ・海老樋(えびどい) | | コンクリートを流し込むときに、ミキサーの先端に付ける樋のことです。海老(えび)の形をして、自由に方向を変えることができることからつけられた名称。「スイベルシュート」或いは単に「シュート」と呼んでいます。 |
|
| 書院の違い棚の連結部分の海老束。上部のS字型は「筆返し」です。 |
| 寺院の仏壇に見られる海老束は左の海老の図に呼応しており、納得できます。 |
| |
|