| 猿頬天井とは何でしょうか。
猿の頬と天井と何の関係があるというのでしょうか。
まず、左図の猿の顔をごらんください。日本猿の顔です。次に、その右図をご覧ください。何か気付きませんか?そうです。猿の頬の形が下に行くに従ってすぼんで来ています。その形と、下図の竿縁天井の竿縁の形状が似ています。つまり、猿の頬に似ている竿縁を使用した天井のところから「猿頬天井(さるぼおてんじょう)」と呼ばれています。
この竿縁のことを「猿頬縁(さるぼおぶち)」といいます。 又、この形をした竿縁の斜めの面取りことを「猿頬面(さるぼおめん)」といいます。
| | ニホンザルの顔 (頬の部分に注目して下さい)
| 竿縁天井の竿部分が猿の頬に似ています。 猿頬面のサイズはいろいろあり、これでなければならないというわけではありませんが、代表的なサイズを書いておきました。 |
猿とは日本の木製の戸や古い建物で金属建具の施錠を行うために用いられた細木の総称です。下の図は「上げ猿(あげざる)」と呼ばれるものです。施錠する前(左)と施錠後(右)の図となっています。
他にも戸の下部側にも同じ物が設けられていて、「下げ猿(さげざる)」、「縦猿(たてざる)、または「落とし猿(おとしざる)」といいます。さらに、戸の中央の端に設けられるものを「横猿(よこざる)」といいます。上げ猿は鴨居に、下げ猿は敷居に、横猿は他の戸の竪框にそれぞれ差し込まれて、戸締まりが出来るようになっています。横猿は雨戸が一本の溝を通るため、戸を相互に連結して強めるねらいがあります。
更に舞良戸(まらいど)で桟の一部を可動にして猿としたものがあります。これを「忍び猿(しのびざる)」といいます。
なぜ、これらが猿と付けられたかは、明確ではありませんが、猿は上にも下にもまた、横にも自在に素早く動くことが可能なことから、名がついたのではないかと筆者は考えます。
金属建具では、上げ猿や下げ猿に該当するものとして「フランス落とし」「南京落とし」があります。いずれも、戸の内側の見えるところにつきますが、戸の框の見込み部分(=框の厚さ部分)に収納出来るタイプのものもあります。これは、主に親子扉の小扉に設けられます。見た目に錠前が見えないため、スッキリとした扉になります。
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