| 蛇(へび)の腹のような伸縮する形状や模様のことを「蛇腹(じゃばら)」といいます。下の図の左側は蛇(へび)の腹の部分を描いたものです。
一番大きな模様の部分を見れば、右側の蛇腹ホースと形状がよく似ています。伸縮するホースが出来て、蛇腹ホースと名付けられたものなのか、蛇の腹を見てこの形状のホースが開発された物かは判然としませんが、どちらも形状だけでなく、自在に伸縮することも似ています。
蛇腹で見かけるものは多数ありますが、一例をあげると下記のようなものがあります。
@ 組み立て式カメラや引き伸ばし機で、レンズと本体とをつなぐ、 遮光性で折りたたみ式の伸縮自在の部分。
A 建物の軒や壁の最上部などに帯状に巡らした、刳形(くりかた) のある突出部分。胴蛇腹や軒蛇腹などがある。 建具などに装飾的に用いるくりぬいた板。多くはある形を 連続して用い、模様をつくります。
B 衣服や帽子の装飾としてつける波状のテープ。
C アコーディオン・提灯(ちょうちん)などの胴体の、伸縮する部分。
最も身近なものでは、洗濯機の排水ホースがあります。
| | 蛇の腹。即ちジャバラです。 | 蛇腹ホース |
蛇の目(じゃのめ)とは、大小二つの同心円からなる模様のことです。
ヘビの目ににていることから名づけられたものです。蛇(へび)の目は全体として露出している部分は円形に近いのです。よく見れば瞳の部分は縦長の楕円形を描いています。蛇の仲間の多くは下の図の目のよりワニの目の瞳のように、細い縦長となっています。
人間の瞳もよく見れば円形ではありません。縦長なの楕円で同じです。 蛇の目(じゃのめ)の名のつくものは多のですが、どれも大小の同心の正円で出来ています。
蛇の目のつく物の例を上げてみますと、建築では、肘壺(ひじつぼ)と呼ばれる蝶番の一種の上下の可動部の間に入れられるワッシャーのものを「蛇の目」と呼んでいます。その他については下記のとおりです。
@蛇の目の傘
A会社のロゴマーク(ソースやミシンの会社)
B加藤清正に代表される加藤家や堀家の家紋
C酒や醤油の濁りを見るために使うお猪口(ちょこ)
D日本気象協会の天気記号で「霧(きり)」 などがあります。
| | 蛇(へび)の目 | 肘壺(ひじつぼ)の上下の間に入っているワッシャーの形を蛇の目と呼んでいます。 |
蛇の目の傘
水道の水の出口のことを『蛇口(じゃぐち)』といいます。あるいは『カラン』ともいいます。このカランはオランダ語で「鶴」を意味するのだそうです。
ではなぜ蛇口と呼ぶのか?それには明確な答えを知りませんが、筆者の思うには、蛇は常に下の図のような舌を出して、獲物の匂いや体温を探っています。その様子はまさに蛇の口から水が出ているように見えるところから来ているのではないかと、、、
| | ↑蛇口 蛇の口 → |
日本最初の近代水道は、明治20年(1887)10月17日に横浜市に給水が開始さたのが始まりです。 同市の野毛山貯水場跡に立つ、イギリス人技師・ヘンリー・スペンサー・パーマー氏によりイギリスから持ち込まれ獅子頭共用栓(ししがしらきょうようせん)というものでした。当時は各家庭にあったわけではなく、道路に面して設けられた共同で利用する水道であったわけです。
獅子頭共同栓は右の図のように吐水口(蛇口のこと)は、獅子の口でした。獅子はヨーロッパでは水の守り神でありました。それなら、日本の水の守り神は龍(りゅう)だろうということで龍が吐水口となったようです。
今でも、神社の「手水(てみず)」場で見かけることがよくあります。また、獅子頭共同栓も大きな温泉施設などで見かけます。右の図で左の筒のような部分にカランがついていたものが失われたようです。 | |
しかしどちらも一般家庭では実用的ではありません。そこで現在の蛇口になったようです。
なぜ蛇口というかは、上に述べたとおり、はっきりしません。
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