| 鳶(トビ)とは、鳶職のことで、職業を示す場合とその仕事を行う人間として鳶工を呼ぶ場合の二種類があります。建築現場では、「明日、鳶さん二人来て貰って。」などといいます。
鳶職は古く飛鳥時代にはあったそうです。鳶と呼ぶようになったのは江戸時代のことです。 なぜ、鳶と呼ぶかについては、二つの説があります。
@ | その仕事がら上棟の時、建物の梁から梁へ飛び移ったから「鳶」とよんだ。 | A | 仕事で使う鳶口という鳶の口に似た道具を使用するので「鳶」とよんだ。 |
「鳶口については、このペーシ下に記載しています。
鳶といえば、高いところの仕事を重い浮かべがちですが、それ以外でも地業(地均し、掘削)、基礎工事、足場の架設、棟上(軸組の組み立て)。その他は建築解体、曳き屋(詳しくは下記「鳶口」参照)、木遣り(木材の運搬)。祭礼内容は地鎮祭、上棟式、竣工式などの仕事もこなします。現在では鳶職のおもなものは、「足場鳶」「鉄骨鳶」「重量鳶」「送電鳶」などがあります。
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| 鳶とはこんな鳥。 | 図は「鉄骨鳶」の例です。鉄骨を建てていくときにはこの「鳶工」がなくしては、建て方が進みません。 |
なお、鳶(トビ)と呼ぶ他に、同じように鳶と書いて(トンビ)とも呼びます。トンビと呼ぶ場合には、それを指すのが人ではなく、金物となります。それは、簡単な杭打ち試験において、ドロップハンマーを引き上げる際に用いられる金物を指すことになります。
鳶口(とびぐち)とは丸太や原木など木材の移動・運搬・積み上げや、木造の建築物の解体や移動(曳き屋)に使用される道具です。古くは鳶職を中心に組織された町火消の消防作業に使われた道具でもあります。
鳶の鋭い嘴(くちばし)に鳶口(トビくち)という道具が似ているところからこう呼ばれます。長さ1.5〜2mほどの木製の棒の先に、名前の由来となったトビの嘴の様な金属製の金具が取り付けられています。あるいは、嘴(くちばし)にヒントを得たか、似せて造ったのかもしれません。
今でも、消防の現場検証などで焼け落ちた家屋の木材の移動や時代劇映画の中で「火消し」が持っている場面などに見かけることがあります。
| | 鳶の鋭い嘴(くちばし) | 鳶口の図。鳶の嘴(くちばし)によく似ています。 |
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