| 辞書で「ちんくぐり」を引くと「狆潜り(ちんくぐり):床の間の脇を仕切る壁の下の方にある吹き抜け。犬潜り(いぬくぐり)。 とあります。辞書では、そのいわれは書かれていません。
狆(チン)とは犬の種類で、奈良時代、朝鮮半島の新羅(しらぎ)から聖武天皇へ献上されたのが日本での始まりだそうです。 江戸時代では、大奥での狆(チン)の飼育が発端となって、各地の大名が競って飼育を始め珍重されたそうで、この床(とこ)と床脇(とこわき)とを仕切る袖壁(そでかべ)の下方に設けられた小さな開口部のことを狆潜りと言います。(下図参照)たしかに、狆が潜るような小さな穴です。 いかにも当時の生活に狆が密接な関係をもっていたことが伺えます。
狆潜りの形状は、殆どの場合四角形で、横長や縦長など様々です。下図では少ししゃれた半アーチ型をしたものを模写しました。このほかにも、曲がりくねった木を利用したものなども凝ったものもあります。 一方、他説には、書院窓からの明り取りが始まりであるとするものもあります。
| 狆(ちん)は誰もが愛せる犬 | | 狆潜りは、床の間の界壁に設けられる。一般的には長方形で、横長や縦長の長方形があるが、例外もある。上図は半アーチ状をしているが、この殺風景で退屈な床の間にあって、この形状がそれを救っている。 |
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