| ALCは、鉄骨造の外壁で最もよく使われる内外壁パネルです。住宅や郊外の量販店、ショッピングセンターなど利用は広範囲にわたっています。このパネルにも、タイルを貼ることは可能です。先に紹介した、押出成形セメント板にパネルサイズやタイル貼りの共通点がありますが、素材自体がまったく違うため、詳細では大きく違ってきます。
ALCパネルに現場貼りするタイルは50 角または50 二丁とします。ALCパネルの場合は600mmピッチにALCパネルの目地があるため、メートルモデュールの50角タイルや50二丁タイルはパネル幅内に割付けしやすくなります。
タイルの大きさ、形状、材質等は日本建築仕上学会編の「ALCパネル現場タイル貼り工法指針(案)・同解説」によりますので詳しくは、同書購入の上検討してください。下記に同書の要点を記載しました。
日本建築仕上学会編「ALCパネル現場タイル貼り工法指針(案)・同解説」の要点 | @ | タイルの割付は、ALCのパネル間でタイルがまたがらないように割り付ける。(ALC同士の目地をタイルがまたぐような貼り方はしないようにする)
| A | ALCパネルの構法に応じ、適切な位置にタイルの伸縮調整目地を設置する。
| B | 下地処理剤、日本建築仕上学会規格m101に適合する品質のものか、既調合のポリマーセメントモルタルとする。
| C | 貼り付けモルタルは、住宅・都市整備公団特別共通仕様書4.タイルモルタルに適合するものとする
| D | タイルのサイズは50角または50二丁モザイクタイルとする。また、タイルの裏足は「蟻あし」状とする。
| E | タイルの貼り付けに際して、ALCパネルに塗り付けられるモルタルの塗り厚さを極力薄くする。
| F | タイルの貼り付けは、マスク張りまたはモザイクタイル貼りとする。
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ALC板は建物の軽量化、工期短縮、コストダウンに合致する材料としてその需要をのばしており、その仕上げ材としてタイルを使用する例も増加しています。タイル貼りの下地としてのALC板は、吸水率が大きい、表面強度が弱いなどの問題を抱えています。しかし、これらの問題を十分に把握し、適切な対策を施すことで、ALC板へのタイル貼りが可能になります。
ALC板へのタイル貼り適用構法は下記の二種類 | @ | 縦壁ロッキング構法 正圧2000N/u、負圧1600N/u以下の建物の部分、 かつ31m以下の建築物 適用ALC厚さ 100,120、125,150o 適用ALC幅 300〜600o パネルの長さ パネルの厚さの35 倍以下かつ4,100 以下
| A | 縦壁スライド構法 風圧力 正圧2000N/u、負圧1200N/u以下の建物の部分、かつ31m以下の建築物 適用ALC厚さ 100,120、125,150o 適用ALC幅 300〜600o パネルの長さ パネルの厚さの35 倍以下かつ4,100 以下
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竪壁ロッキング工法と竪壁スライド工法は、大まかにいえば外壁のALCは強固に鉄骨造の躯体に取り付けられているのではなく、地震や風圧に建物が多少(数ミリ)の変形が生じたとしても、追随出来るような取り付け方がしてある、ということです。そうすれば、建物に変形が起きても、ALCが損なわれないか、損なわれても少ない被害で済むということを想定した構法と言えます。
両構法では、竪壁ロッキング構法は留め金部で躯体が変形した場合、ALCが同方向に回転する追随の仕方であり、竪壁スライド構法では、ALCの留め金がアングルの上を左右にスライドする構法です。
縦壁ロッキング構法とは | 縦壁ロッキング構法はパネルの上下端を2点で躯体に取り付ける構法です。面内方向の水平力による変位が小さい初期の段階から、個々のパネルがそれぞれ単独に微小回転するものであり、層間変位追従性能にはより優れた構法です。下図のパネルが傾いた図は、イメージであり、これほど大きく変形はあり得ません。
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縦壁スライド構法とは | 縦壁スライド構法は、パネルの下部を固定し、上部はスライド(スウェイ)する構法です。この壁面が面内の水平力を受けた場合、一般部パネルは一体となってスライドし、パネル間には縦方向のずれが生じないことになります。
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ALC板は建物の軽量化、工期短縮、コストダウンに合致する材料としてその需要をのばしており、その仕上げ材としてタイルを使用する例も増加しています。タイル貼りの下地としてのALC板は、吸水率が大きい、表面強度が弱いなどの問題を抱えています。しかし、これらの問題を十分に把握し、適切な対策を施すことで、ALC板へのタイル貼りが可能になります。
ALC板へのタイル貼りにおける伸縮目地位置 | 縦壁ロッキング構法 | @ | パネル毎縦目地 | A | 水平目地 | B | 出入隅目地 | C | 他部材取合い部 | 縦壁スライド構法 | @ | 水平目地 | A | 出入隅目地および最端部パネルと隣接するパネル縦目地 | B | 他部材取合い部 | C | 開口両側の縦目地および中間方立てが挿入された縦目地 | D | パネル5枚以内の縦目地 |
縦壁ロッキング構法で目地仕様 | 縦壁ロッキング構法はパネルの上下端を2点で躯体に取り付ける構法す。面内方向の水平力による変位が小さい初期の段階から、個々のパネルがそれぞれ単独に微小回転するものであり、層間変位追従性能にはより優れた構法です。
したがって、パネル間全ての目地が挙動するためタイル伸縮目地とする必要があります。
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縦壁スライド構法での目地仕様 | 縦壁スライド構法はパネルの下部を固定し、上部はスライド(スウェイ)する構法です。この壁面が面内の水平力を受けた場合、一般部パネルは一体となってスライドし、パネル間には縦方向のずれが生じないことになります。パネルの上下間および出入隅部には層間変形角に応じた目地間隔をもうけて層間変位に追従するので、比較的大きなパネル伸縮目地となります。
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